650万回再生も!お年寄りが出演するオススメ動画4選
皆さんはインターネットで動画を見ることはありますか?
高齢の方々はあまり馴染みがない方も多いかもしれません。
インターネットの動画に馴染みがない方々へ、今回は私のオススメ動画をご紹介します!
今回ご紹介するのは「高齢者が出演している動画」です!!
自粛期間中、私もYouTubeで動画を漁る日々が続きましたが、高齢者が出演している動画が結構あるんです!
中には90代の方も!!
インターネットは難しそうとか、何となく抵抗感を感じている高齢の方は多いと思いますが、こうしてネット社会で活躍されている同年代の方々を見て少しでもインターネットに興味を持っていただけたらいいなと思います。
SISとばあばのダンス動画
こちらTwitterで82.3万回再生された動画です!!
姉妹プロダンサー「SIS」と "ばあば" 町子さん72歳のダンス動画です。
私はこの動画をInstagramで見たのですが、それからSISと町子さんのファンになりました!
これ以外にもSISとばあばの動画はいくつも上がっているのですが、何がいいって毎回お孫さん2人と町子さんがすごく楽しそうにダンスに取り組んでいること、お孫さんたちが町子さんと3人で上手く踊れた時に本当に嬉しそうに笑っていること。
仲の良さが伝わってきて、見ているこちらもハッピーになります♪
ぜひこれ以外の動画も見ていただきたいです!!YouTubeのチャンネルもありますよ。
ばあばとダンス第2段🕺🏻🤣🔥
— SIS (@SIS_SKRCNT) 2020年5月2日
ばあば味のある #Tootsieslide をご覧下さい😂#町子72歳 #おうち時間 #おうちダンス pic.twitter.com/aZWBqxH7nn
ギネス認定!90歳ゲームYouTuber
90歳のオンラインゲーマーでYouTuberの「Gamer Grandma」さん。
先日、見事「世界最高齢のゲームユーチューバー」としてギネスに登録されました!!
添付させていただいた動画はなんと409万回再生!(2020/7/18現在)
ネットニュースでも取り上げられていました。
昔からゲームがお好きだったとか。
人生何が起こるかわかりませんよね!
投資で月収100万円を稼ぐ91歳のおじいさん
こちらはYouTuberのお孫さんとの対談動画ですが、91歳で投資で月100万円稼いでいるおじいさんのお話です。
91歳が語る説得力がすごい。
ゆっくりと落ち着いた口調で全然押し付けがましくなく、ご本人は経験に基づいて淡々とお孫さんの質問に答えているのですが、それが逆に説得力を増していますね。
お金に興味がある方が見ても面白いと思います。
インターネットが普及していない時代から投資を始めた人がどうやって知識を増やし、お金を増やしていったのか、その実話が聞けるのは大変勉強になりますね。
こちらも脅威の182万回再生!
歯医者としては7分12秒の入れ歯を外しちゃうシーンがツボでしたw
おせちを作りながら99年の人生を振り返る
今までご紹介したものはSNSやYouTubeらしいポップな雰囲気の動画でしたが、最後に落ち着いた世界観の動画をご紹介します。
「Grandma's Recipes」というチャンネルの「まさみおばあちゃんのおせち」という動画。
長野県にお住まいの99歳のおばあちゃんがおせちを作りながら人生を振り返ります。
画質が良く、作っている時の音も良く、自然と落ち着いた気持ちになります。
最近話題のヒロシさんのキャンプ動画もあえてテロップや字幕を入れずにキャンプ中の自然の風景や音にこだわっているのが魅力だと思いますが、こちらの動画も雰囲気は似ていると思います。
個人的にはこういう落ち着いた雰囲気で「素材」の良さを全面に出している動画が好きです。
こちらの動画はおばあちゃんの語りが入るのでちょっとドキュメンタリー風ですね。
おやきを作りながら若い頃の恋人について語るシーンが何とも切なく、まさみさんの強さを感じます。
649万回再生。私が自粛中に見ていた時よりすごい増えてる気が。。。
まとめ
いかがだったでしょうか?
ご紹介した動画以外にも、高齢の方が出演されている動画作品はまだまだあります!
皆さんもぜひ探してみて、ネット動画の世界に興味を持っていただけたらと思います!
医療機関もレストランも!「嚥下マップ」で検索しよう
入院して飲み込みが悪くなったからもう食べられないのかな…
飲み込みが悪いから旅行して外食なんて無理よね…
諦めるのはまだ早い!!
そんな方のために情報提供をしているサイトがあります!
今回はちょっと宣伝ぽくなってしまいますが、もっとたくさんの人に知ってもらいたいので「摂食嚥下関連医療資源マップ」についてお話ししようと思います。
このサイトでできること
このサイトをオススメするのは主に
・患者さんの家の近くで診察可能な医療機関を探す
・嚥下障害がある方でも行けるレストランを探す
場合です。
また、インプラントに関する診察、治療を行ってくれるクリニックの検索も可能です。
インプラントもしっかり歯磨きをしていないと歯周病になります(インプラント周囲炎)。
インプラントが入っている患者さんが認知症になると歯磨きが不十分になり、インプラント周囲が腫れて炎症を起こしたり、歯周炎が進んで脱離する危険もあるため、認知症が進行する前に除去して入れ歯にするという選択肢もあります。
医療機関の検索
大学にいると、ときどき往診できない地域からも診てほしいとお電話をいただくことがあります。
保険診療の範囲で往診できるのは半径16km圏内と決まっているので、東京近郊でも往診できない場合もあります。
そんな場合にこのマップで嚥下の診察が可能なクリニックを検索することができます。
サイト名の下の緑色のメニューバーの左から2番目「医療機関一覧」からキーワード、都道府県名で検索可能です。
以前青森にお住まいの親御さんを介護されている方から相談の電話を受けたことがありました。
「都会だとたくさん病院がある。田舎だから治療を受けさせてあげられないのではないか。」
と悩んでいらっしゃいました。
治療のために都会の病院で診てもらうことも考えているご様子でしたが、ご本人の身体的な負担がかなり大きいので、まずはお住まいの地域で診察してもらえるクリニックを探すためにこのマップをお勧めしました。
嚥下障害のある高齢者の場合、半径16kmを超えた範囲からでは通院するにしても遠くてかなり疲れてしまいます。
疲れた状態では嚥下機能も低下するため、診察にも影響が出る可能性があります。
まずはご本人の負担を考え、お近くのクリニックを検索してみることをお勧めします。
嚥下障害があっても行ける!レストラン探し
嚥下障害があるため食形態に制限がある方もいらっしゃいますよね。
ご家族にそういう方がいる場合は自然と外食を控えるようになってしまうのではないでしょうか。
実は嚥下障害がある方でも食べられる形態のお食事を提供しているレストランが全国に65件あります!(2020/7/12現在)
それもこのマップで検索できます!
あのディズニーランドも登録されていますよ!(ディズニーランドはちゃんと千葉県で登録されていました)
地方の老舗旅館や有名ホテルも登録されていますので、ご旅行の際にも参考にしていただければと思います。
今はコロナでなかなか外食や旅行ができる状況ではないですが、コロナが落ち着いたら家族で外食するのもいいですね。
登録にご協力を!
このマップですが、全国の嚥下の診察を行っている医療機関、食形態の調整にご協力いただけるレストラン・旅館の皆様のご協力のもとで成り立っております。
特に飲食店に関しましては、実際に行かれた患者様の口コミで登録されたお店も多いです。
嚥下障害をお持ちの患者様、ご家族にとって、治療ができること・外食ができるということは希望の光になります。
医療機関の皆様、飲食店の皆様、実際に行かれたお客様、
登録にぜひご協力をお願い致します!!!
みんな知らない「入れ歯のハナシ」
入れ歯を作る時に、
「今日は型取りしました。」
「じゃあ次回出来上がりますか?!」
「いやぁ…まだだいぶかかります…1ヶ月くらいかかります…」
「そんなにかかるんですか?!」
というやりとりを必ずと言っていいほどします。
入れ歯を作る工程に関しては歯科関係者以外はまず知らないので、「なんでそんなに時間がかかるの??」という疑問が生まれると思います。
今回はそのステップを知っていただくことで、少しでも入れ歯への理解と愛着が深まればいいなと思います。
型取り
歯の状態と “土手”(歯がなくなった部分;顎堤 がくていと言います)の状態を記録し、模型にして患者さんがいないところでもお口の中の状態を確認、再現できるようにします。
模型にすることで、実際には前からしか見られない口腔内を前後左右いろいろな方向から見ることができます。
型取りにはピンク色の冷たいベチョっとしたものを使います。アルジネート印象材と言って、材料は海藻で食物繊維の一種です。食品だと増粘剤、安定剤、ゲル化剤として使われているものと同じみたいです。
入れ歯の場合、先生によっては型取りが1回ではなく2回以上になることもあります。それは個人トレーといってその人専用のオーダーメイド式トレーを作り、そのトレーで再度型を取ることでよりその人のお口にあった入れ歯を作るためです。
この後の話も含め、入れ歯の作り方は1通りではなく、細かい違いも含めれば無数にあると言ってもいいくらいです。大学によっても教え方が違いますし(流派みたいな)、先生によって、患者さんの状態によっても作り方は違いますので、「これをやらないからダメ」ということはないです。今回の話は絶対に欠かせない基本の骨格の部分のみにしています。
あえてくだけた言い方にすれば「職人芸」みたいなところもあるので。
こういう部分は外科の先生もそうなのかも?機会があれば聞いてみたいですね。
ちょっと脱線しますが、歯科医師は顔や名前を見なくても模型を見るだけで患者さんを特定することができます。歯の形、歯並び、どの歯が欠損しているか、土手の形、口の大きさなどで判断できます。
なので、歯が全てあっても、なくても、全て被せ物でも、自分が担当していた患者さんならその人と特定できます。
この能力を生かして、大規模災害時や事件の際に人物の特定作業を依頼されることもあります。
学生時代に先生たちに患者さんの模型を持っていくと、その先生がしばらく見ていない患者さんでも「これ〇〇さん?」と当てるのを見て非常に驚いたのですが、今となっては普通のことになってしまいました。慣れってすごい。
噛み合わせ
型取りまでは知っているし、やらないとできなそうなのはわかるけど、それ以外何してるのか分からない、という人がきっと多いと思います。
型取りが終わったら次は噛み合わせの記録をとります。これがないと絶対に入れ歯はできません。
そして歯科医師にとってはこの工程が(特に訪問診療では)一番難しいと個人的には思います。
型取りで上下の歯並びを再現した模型ができますが、その2つの模型をどの位置で噛ませたら実際のお口の中の状態と同じになるのか、上下2つの模型の位置関係を決めるための工程です。
上の歯に対して下アゴが明らかに左右どちらかに寄っているとか、前にアゴを出した状態で噛み合わせを再現してしまうと、出来上がる入れ歯もその状態で噛むようにできあがってしまうので、非常に噛みづらい入れ歯ができてしまいます。
訪問診療の患者さんは疾患の問題で姿勢の保持が難しく体が傾いてしまったり、認知症で意思疎通が難しく「噛む」という意味がわからなかったり、無意識のうちに左右の歯が残っている方に寄せたり顎を前に出してしまう人も多いので、型取りではこちらがある程度制御することもできるのに対し、噛み合わせの記録は患者さんの協力が必須なので苦労します。
型取り、噛み合わせの記録を取ると、2つの模型を「咬合器」という器具に装着し、患者さんのいないところでお口の中の状態を再現できるようになります。
↓の写真は上下の模型を咬合器につけて噛み合わせを見ているところですね。
試し入れ
お口の中の状態を再現できたら、いよいよ入れ歯を作っていきます!
ここからは主に技工士さんのお仕事になります。
技工士さんとは、模型に合わせて入れ歯、被せ物を作る作業をする人たちです。ほぼ全て手作業で作っています。
歯医者には欠かせない存在です。
部分入れ歯の場合、まず金具部分から作ります。あの金具も全てオーダーメイドで作っているんですよ!
歯科用の蝋を使って金具の形を歯に合わせて作り、鋳造します。細いものは針金を曲げてつくります。
次に、入れ歯のプラスチック部分を作っていきます。歯とピンク色の歯茎の部分ですね。
まず仮のプラスチックの材料で歯茎部分の土台を作り、その上に歯科用のワックス、つまり蝋をのせます。
その蝋の上に、反対側と噛み合うように1本ずつ人工のプラスチックの歯を並べていきます。
2mm違うだけで見た目が違ってきますし、使い心地に影響してきます。
歯の数が多いとこの作業にとても時間がかかり大変です。技工士さんもたくさんの仕事を抱えているので、この作業に1週間程度かかります。
歯を並べ終わったら咬合器上で噛み合わせを確認し、一旦歯科医師のもとに返ってきます。
この「仮の入れ歯」を試しに患者さんのお口に入れてみて、実際の噛み合わせが咬合器の噛み合わせと違っていないか、見た目はどうか、などを確認します。
試し入れをして問題なければいよいよ完成に進みます!
入れ歯の完成
仮の入れ歯をまた技工士さんにお返しして、完成品にしてもらいます。
人工歯はそのままに、仮のプラスチックの土台とワックス部分をピンク色のプラスチックに置き換えます。
ピンク色のプラスチックに置き換えたら、噛み合わせを整え(置き換える作業で微妙に噛み合わせがずれるのでそれを修正します)、ピカピカに研磨して、ようやく完成です!!
技工士さんの作業部分をまとめた動画を見つけたので貼らせていただきました↓
これは総入れ歯の工程なので金属はないですが、歯を並べてから研磨までの作業の流れが短くまとめられています。
ワックス→プラスチックに置き換えるところについて簡単に解説しますと、蝋でできた仮の入れ歯を石膏に埋めることで、仮の入れ歯の形を石膏で「型取り」する、要は「鋳型」を作り、そこにピンクのプラスチックを流し込むということです。
この作業はお湯で温める時間が長いので、試し入れ→完成にも1週間程度かかります。
まとめ
入れ歯が出来上がるまでには上記のステップが欠かせず、歯医者と技工士さんたちが1つ1つ愛情こめて作っています!
私も大学にいた頃は技工士さんが行う工程も自分でやることがありましたが、自分で作った入れ歯は自分の「作品」なので、自分の子供を嫁に出すような感覚です(経験ないけど)。
みなさんの入れ歯に対する理解が深まることで、愛着を持って大切に使っていただけたら嬉しいです。
コロナ自粛で気づいたこと〜ブログを始めたきっかけ〜
こんにちは。えるさ@訪問歯科医です。
最近noteも始めまして、そちらのほうで自己紹介として載せた文章なのですが、はてなブログのほうでも載せたいと思いまして、こちらにも掲載します。
はてなブログは歯科医師としての情報発信、noteは1人の人間として考えていることを載せる、という使い分けをしています。
共通しているのは全て私の実体験に基づいているということ。
どちらか片方にでも興味をもって下さった方々がTwitter含め他の媒体も見て下さることで、おこがましいかもしれませんが、その方々の人生が豊かになったり、視野が広がったり、少しでも今生きているこの時間が「生きやすく」なったらいいなと思っています。
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ブログを始めたのは5月中旬。
コロナの影響で一部の職場はクリニック自体が休診になったり、嚥下内視鏡検査ができなくなったためアポが入らなくなり休みになったり、約2ヶ月ほど仕事は週1日のみという日々が続きました。
私は「考えることをやめられない」という少し変わった性格で、時間ができたおかげで世の中の色んな世界や情報に触れながら、あれこれと思考にふけっていました。
「考えること」は私にとっては呼吸することくらい自然で、その時間は心地良いものなので、全く苦痛ではなくとても有意義な時間でした。
そんな中で私が思ったのは、これからはインターネット上での立場がとても重要になってくるということ。
インターネット上での立場・影響力が社会的地位や経済力としてその個人の価値になり、評価される時代になってきているのだと。
コロナはあくまできっかけで、でもそのおかげでその流れは今まで以上に加速するであろうということ。
コロナ以前から、普段仕事をしていて
「自分が歯科医師として普通に生活していて一生のうちに手を差し伸べられる人数なんてたかが知れているな」
と思うことが何度もありました。
自分のメインとする仕事が訪問診療であるため、日本の高齢者を取り巻く現状を目の当たりにしてきました。
一人の歯科医師としてできることの限界と、その周りに無数に存在する現在の日本の問題点。
見えているのに、何もできない。
自分という人間の無力さを感じていました。
そんな日々を悶々と過ごしていた時にコロナで自粛生活を送ることに。
インターネット上での立場が重要だと気づき、時間がある今、自分にできることはないか。
あれこれ方法を考え模索した結果、とりあえずブログをやってみようと思い立ちました。
私は何事も行動力が大事だと思っています。
ブログを始めることが後々自分にとってどう得になるか、今の私はそのストーリーを明確に描けているわけではありません。
でも、私の周りには老若男女問わず、もがきながら一生懸命生きている人がたくさんいる。
私が実際に知っている人以外にも、日本だけでなく世界にも、たくさんいる。
その人たちのために、まず自分ができることが目の前にあるなら、とりあえず始めてみればいいじゃないか、と。
何事も「始めてみないと分からない壁」は必ずあります。
今回も行き当たりばったりでブログを始めて、デザインのためにcssを初めて勉強して、私としてはとても苦労しました(笑)
でも、壁にぶつかっても逃げずに真正面からぶつかって、それを乗り越えられた時、得られる自らの成長と充実感は素晴らしいと思いませんか?
それは始めてみて、ぶつかってみないと得られない、見られない景色だと毎回思います。
まだ名も無い私がこうしてnoteやはてなブログで自分の考えていることを綴っていくことが、のちにどういうストーリーを展開していくのか。
今は全く分かりませんが、とりあえず思っているのは自分に正直に、自分が世の中のために必要だと思ったことは評価を気にしすぎずに愚直に続けていくことです。
最近仕事がほぼ通常通りに戻ったため、更新頻度が遅くなっていますが、また近々更新します!
いつも読んで下さっている方、ありがとうございます!
人生会議ノススメ〜人生の終わり方を話し合おう〜
「人生会議」という言葉をご存知でしょうか。
簡単に言えば「人生の終わり方について話し合う」ということです。
下記のブログを拝見させてもらって、その趣旨がとてもよく書かれていると感じたのでリンクを貼らせていただきました。
人生をいかに終わらせるか。
その考えは十人十色。家族であっても考え方は違って当然です。
私も普段仕事をしていて、もっと皆さんにこの問題を普段から考えてほしいと強く感じているので、今回は「人生の終わり方」を考えることについて書いていきます。
人生会議は防災に似ている
日本にお住まいの皆さんは、家に防災グッズを備えているご家庭が多いのではないかと思います。
「防災」とは、日本の場合は主に天災に見舞われた際に命を守るために、その時の状況を想像して必要な準備をすることで、実際に起きた際になるべく慌てずに行動できるようにする、ということです。
「人生会議」は必ずいつかは訪れる最期の時の状況を想像し、どう過ごすか、何をして何をしないかを具体的に話し合い、その時に慌てずに行動できるようにするための話し合いです。
訪問の仕事をするようになり介護の現場に立ち会うと、ご本人が病気になり自分のことを自分でできなくなって初めて「どうしよう」と慌てて考えるご家族によく遭遇します。
人間てそんなもんだと思うんです。
失って初めて健康の大切さ、「普通」の素晴らしさに気づく。
今回のコロナもそうですよね。
だからこそ、備えることが大切なのです。
予期せぬ事態に備えずに遭遇した場合、大抵の人は慌てて考えた末に誤った選択をしたり、「抜けられない思考の沼」にはまってしまいます。
それは時にご本人が意思表示ができる時に話をしていたら望まなかったのではないか、という方向に進んでいってしまうこともあります。
ご本人が意思表示できなくなった場合、ご家族の意思をもとに話が進みます。でも、事前に話をしていなかったらご本人の意思はご家族も知り得ないわけで、それがご家族を混乱させ「思考の沼」にはまらせてしまうのです。
日本にお住まいの方は「防災」の大切さをよく知っています。
その強みを是非「人生会議」にも役立ててほしいのです。
家族でも察せないことはある
ご紹介したくじら在宅クリニックのブログにも書いてありますが、日本では何となく「死」の話をするのはタブーな雰囲気がありますよね。
そういった「口にするのは何となく気まずいこと」をお互い察して対処するのが日本の文化だと思います。
日本のそういった文化そのものは、私は素晴らしいものだと思っています。
「思いやり」は察することから始まると思うので。
でも、やはり家族でも違う人間なので、言葉にしなければ伝わらないことはあります。
それを察することができないのは人間として当然です。
日本人は時に「察する」ことを求めすぎることがあります。
普段の何気ない一コマならまだしも、人生の終わりの時は1回しかなく、人によってはとても短い時間しかありません。
「察する」ことに頼って終わり方が納得いかないものになったら、後悔してもしきれないと思いませんか?
大前提は「本人の意思が最優先」
当たり前だと思うでしょうが、こんな当たり前のことが難しいのが介護の現場なのです。
以下は賛否両論あると思いますが、よくある例としてご紹介します。
皆さんもご本人、娘さんの立場になって想像してみて下さい。
※架空の例であり、特定の個人の例ではありません。
ご本人は80代後半。脳血管疾患や認知症のため意思疎通は取れない状態。
退院して在宅介護することになった。
KPの娘さんはとても熱心で、いろいろなサービスを使っている。介護保険で入れられる枠を超えて一部自費でもいいから入れたいと。
サービスがたくさんあるため、1週間予定でびっしり。
そんな中、入院前はもっと食べられていたが退院して食べられなくなったから嚥下評価をしてほしいと歯科介入の依頼が来た。
ご本人はADLが低下しており、元通りまでは戻らない可能性あり。
他のサービスとかぶらないためには訪問できる時間が限られるが、歯科が介入できる時間は他のサービスの直後でご本人の疲労が強く、反応が悪い。
娘さんの目指す目標を訊くと「入院前の状態に戻してほしい」
想像していただけましたか?
想像してみて、どのように感じましたか?
娘さんは少しでも元の元気な状態に戻ってほしいと考えており、そのためにサービスを沢山入れている。
でもご本人の様子を見ると、リハビリや入浴など体力を使うことばかりで疲れている。
娘さんの親を想う気持ちが悪いとは言いません。
子供としては親が衰えて死に向かっていることをそう簡単に受け入れられないのが普通です。
私自身、自分がその立場ですぐに腹をくくれるとは思いません。
でも、疲れ果てている親御さんの様子に気づいていますか?
もし意思疎通がとれる状態で、ご本人が「もう疲れた、これ以上はきつい」と言ってもその状況を続けますか?
娘さん、息子さんをお持ちの方
自分がこの状況だったらお子さんに何と声をかけますか?
自分にずっと元気でいてほしいと願っているお子さんに「もう無理」と素直に言えますか?
これが現実です。
この状況で「察する」ことがいかに難しいか、それを分かっていただきたいのです。
「死」を見つめることは「生」を見つめることでもある
くじら在宅クリニックの先生がブログの締めでおっしゃっている言葉がとても素敵なのでシェアさせていただきます。
死について話し合ったとき、価値観の共有ができます。
あなたってそういう考えだったのね
死について話し合ったとき、もっと自分のことを知ることができます。
自分は何を大切に生きているのかきっと人生会議は、いまの人生そのものも充実したものにしてくれることになると信じています。
人生会議が自分を含めた家族の人生を見つめるきっかけになることを、いち訪問医として願っています。
【おると@整形外科医さんと比較】フリーランスで働く上で注意すべきこと〜歯科医師編〜
今回はフリーランスの歯科医師として働いている私の経験を踏まえ、フリーランス医師おると@整形外科医さんの記事を引用しつつ、歯科医師の場合に気をつけるべきと感じたポイントを挙げていきます。
引用させていただいたのは以下の記事です↓
無茶な勤務のを組み方をしない
これは本当に同感です。
そもそも私の場合、大学で無給医をしていた頃のシフトは
大学:週3〜4日、外勤:週2〜3日
の計週6勤務でした。
歯科業界で大学で働いている人にとって週6勤務はデフォルトなのですが、体力のない私にとってはこれが非常に辛かったです。
平日に大学から家に帰るのは平均9時くらい、土曜の外勤も早く終わるものの家に着くのは7時くらいとなると、洗濯をするのもギリギリな状況でした。
当時は片付けもできず、私の部屋は荒れ放題でした(笑)
一人暮らしをしている大学院生の同期などは帰るのがもっと遅く、仕事も私より多いので、これよりきつい生活を4年も続けているのは本当にすごいと尊敬します。
私がフリーになろうと思ったのは、体力のない自分に合わせたシフトで働きたいというのが一つの理由でした。
なので、体力に自信がある方にとっては緩めのシフトかもしれませんが、現在は週4.5〜5.5勤務です(隔週のバイトを0.5と換算)。
個人的に一番共感したのはこの一文。
休暇にバイトは入れるのは楽だが、バイトを休暇にするのは困難
フリーランスとして医師が働き始める上で絶対に注意すべきポイント7つ - フリドク 〜フリーランスの医師が医師転職・非常勤やスポットバイト・フリーランス・医師転職サイトについて考えるブログ〜
基本的に医師も歯科医師も代わりを見つけるのが大変なので、仕事→休暇の変更はフリーランスとして働くには難しいと考えておきましょう。
社会人として当たり前ではありますが、普段自由に働かせていただいている分、職場に対しては責任を持って、学会以外で自分都合で休むことは基本的にしないようにしています。
歯科医師はスポット勤務のバイト案件が非常に少ないので、休暇→仕事も確かに難しいのですが、体力の限界ギリギリを攻めて体調を崩した時に、勤務先が多いとその分代打を見つけるのも難しいです。
私はまだフリーランスとして働き出して2年目で、今のところ休まなければならないほど体調を崩したことはありませんが、やはり「体調を崩せない」というプレッシャーはあります。
フリーになって自分の体力的に無理のない範囲で働いていることが体調をキープできている理由だと思います。
おるとさんも言及されていますが、フリーランスだと長期休暇を取りにくいので旅行に行きたくても予定を組むのに苦労します。
旅行が趣味の私の場合、自分の夏季休暇の日程は数ヶ月前にカレンダーとにらめっこしてパズルのピースをはめるように予定を組みます(笑)
- 体調を崩して職場を休まなければならない状況を避ける
- プライベートの時間を確保する
以上2点から、仕事の予定は詰めすぎないことを私はオススメします。
自宅から遠い非常勤バイトばかり選ばない
ブログの見出しが原文ままになってばかりで申し訳ないのですが、この段落に関してはもはや付け加えることもないくらい、そのまま読んでいただきたいです。
私の職場は6ヶ所ありますが、その通勤時間はドアtoドアで
Aクリニック:1時間10分
Bクリニック:1時間20分
Cクリニック(隔週):1時間25分
Dクリニック:1時間20分
Eクリニック(隔週):15分
大学:50分
と、軒並み1時間超えです。
首都圏の人にとって、通勤1時間はそこまで驚く時間ではないと思いますが、中学時代から電車で50分近くかけて通学していた私でも、1時間の壁は厚いです…
1ヶ所だけならそこまで辛くないと思うのですが、ほとんどの職場が通勤1時間以上となると、働き始めた頃はそこまで感じませんでしたが、徐々にその長さをしんどく感じ始めます。
通勤15分の職場が神に思えます(笑)
大学で働いていた時は疲れる1番の原因は勤務時間が長いことだと思っていましたが、たとえ座れても単に電車に乗っているだけで、1時間以上の通勤は体に負担になるのだと学びました…
現在はその通勤時間を少しでも有効活用しようと、ブログを書いたり睡眠時間に充てたりしています。
雇用契約書について
この項目に関しては医師と歯科医師だと少し事情が違うと感じました。
私は歯科医師としてはかなり特殊だと思いますが、医科の訪問専門のクリニックでも嚥下のドクターとして勤務しています。
医科のクリニックに行って最初に雇用条件が書かれた紙を提示され、雇用契約書にサインを求められましたが、今まで大学生時代の助手バイトを含め歯科のクリニックでばかり働いてきた私はそんな経験はありませんでしたので、内心驚いたというか、きちんとしているなと感心しました。
印鑑なんて当然持って行きませんでしたから、事務の人に苦笑されてしまいました…(笑)
私の職場は全て大学の医局関連で紹介されたバイト先なので、雇用契約書がなくとも非情な扱いを受けることはまずありませんが、今まで助手バイト含め6ヶ所の歯科クリニックで働いてきた私の経験では、ドクターを雇う際に雇用契約書を作成しているクリニックの方が少ないと思います。
見学に行ったらその場で「いつから働く?」と聞かれて翌週から勤務開始、というパターンが多いのではないかと…
医師は病院での勤務が主であることが多いですが、歯科医師は個人経営のクリニックでの勤務が多いため、雇用契約書にサインするという社会的な常識を知らぬまま開業している先生が今でもかなり多いと思います。
歯科業界のそのような文化をすぐに変えることは難しいと思いますので、雇用契約書を求めることは難しいと思います。
そのような行動を取ることで警戒されるリスクの方が高いです。。(書いていて個人的にはこの文化自体がまずいと思いますが)
知人からの紹介ではなく、グッピーなどの求人サイトで個人的に探した職場の場合、明らかに不当な扱いだと感じた場合は辞めて別の職場を探すのが結局のところ一番手っ取り早く、自分に降りかかる不利益が一番少ないと考えます。
本当はこのような文化が是正されるのが筋だとは思いますが。
医局との関わりは大切にする
以前の記事(私が大学を辞めてフリーランスになった理由 - 訪問歯科医えるさの日記)でも書きましたが、大学という職場が自分に合わないと感じたこともフリーランスになろうと思った理由でした。
それでも「医局に所属していた」という経歴は歯科医師として一生残りますし、それは自分にとってプラスになります。
おるとさんも書かれていますが、医局を辞めても学会で顔を合わせたり、辞めた医局から患者を紹介される・するという関係は続きます。
そもそも歯科医師として知り合いが多いというのは悩みを相談できる相手がいる、自分では対処できない患者を受けてくれる人がいるかもしれない、などプラス面が大きいと思います。
私の場合、歯科医師としての知り合いの8割は医局関連ですので、その存在はとても大切です。というか、医局に入って得たメリットは「知識と人脈」と言い切ってもいいくらいです。
「立つ鳥跡を濁さず」と言いますが、後腐れなく辞めることが自分のためであることは間違いありません。
おるとさんの記事がかなりまとまっていて、もはや私なんぞが付け入る隙もないのですが(汗)、歯科医師である私が実際に感じたことを言葉にすること、歯科医師だと微妙に違う部分もあるのでその点を説明することが大事ではないかと思ったので記事にしました。
最近は私の周りでもフリーで働いている人が増えていて、個人的には嬉しいです。
歯科医師に限らず、個人個人が自分に合った働き方を自由に選べる世の中になるといいなと思います。
訪問歯科を始めよう!準備するものvol.3【人材編】
今回は訪問診療をサポートしてくれる「人材」に関して。
私が丸3年やってきて、各職種に必要だと思ったスキルをまとめました。
まだ3年ではありますが、私なりに懸命に取り組んだ結果、院内の診療を続けていたら得られなかったであろう経験をたくさんさせてもらいました。
今まで「準備するもの」シリーズを計3編あげましたが、結局「人材」が一番重要だと思います。
特に助手さんは、院内とは違ったスキルを求められるので要チェックですが、これから訪問診療に臨もうかと考えている歯科医師の先生方にもぜひお伝えしたい内容です。
歯科医師
院内の治療は一通りこなせることが条件です。
この「一通り」の基準が難しいですが、標準的なレベルでいいのではないかと個人的には思います。
スキルがあればより良いのは義歯。やはり義歯作成や調整の依頼はかなり多く、難症例が多いです。
嚥下に関してはあまり依頼がかからないクリニックもあるでしょう。病院や在宅診療の医科のクリニックと提携することができるなら、依頼が増えるかもしれません。
嚥下に関してはかなり専門色が強いので、専門の先生を雇うのが一番確実で手っ取り早いと思います。
訪問診療の歯科医師に患者さんが求めるものは、スキルもありますが、個人的には「優しさ」 「思いやり」ではないかと思います。
自分の体が思うように動かなくなって、色々な人の助けを借りなければ生きていけない。その状況を自分に置き換えて考えられる想像力があるか、ということです。
ましてや歯科治療は怖い印象を持っている患者さんが多いですので、少しでも前向きに治療を受けてもらうために、患者対応は院内同様とても重要です。
必ずしも毎回やれ、ということではありませんが、歯科医療以外のことでもご本人が困っていそうなこと、助けを求めていると考えられることは積極的に助けに行きましょう。
求められないからいいや、ではなく、求めていないか?と常にアンテナを張っておく。
ご本人は体調が悪くて言葉を発さないだけかもしれません。遠慮しているかもしれません。
具合が悪そうならベッドに横になってもらう、配膳を手伝う、手が届かないところにあるものを取ってあげる、足元にあるつまづきそうなものをどけて通りやすくする…
「治療しに行く」というより「人を助けに行く」くらいの気持ちで私は訪問診療に臨んでいます。
歯科衛生士
訪問の場合、歯ブラシ等による口腔ケアがメインのお仕事になります。
院内しか経験のない衛生士さんだと、経口摂取をしていない口腔内が乾燥痰だらけの患者さんのケアの方法が分からないこともあると思うので、ドクターが教える必要があるかもしれません。
また、訪問では口腔内が見にくいのでう蝕などを見落とすことがあります。ドクターと衛生士の両方が都度チェックすると見落としが少ないと思います。
朝の器具の準備をするのも衛生士さんが中心になるクリニックも多いと思います。
忘れ物をして時間のロスが発生するのはもったいないですので、衛生士さん、コーディネーターさんが準備しやすいようマニュアルや導線を工夫しましょう。
コーディネーター
コーディネーターは助手兼ドライバーの人で、訪問診療の場合は各所方面に電話したり書類を送ったりする必要があるのでそういった仕事もしてもらいます。
また、コーディネーターの重要な仕事の一つがアポ管理です。患者の数が増えてきて居宅が多い場合は、効率のいいルートかつ患者さんの都合のいい時間を考慮してアポを組む必要があります。
ポータブルユニットなど、物によっては重い機材もあるので、非力な人は厳しいです。
車の運転をするので、まず運転ができること、土地勘がある人ならなお良いです。アポイントを組む際に、移動ルートと所用時間が分かることはとても重要です。
衛生士、コーディネーターも患者さんに思いやりを持って対応できるようにしましょう。
いずれの職種も家が少し汚くてもたじろがないことが大事です。
家の汚さや処置の環境が悪いことが気になる人にとってはかなり辛い仕事です。
世の中にいろんな人がいること、その人生を垣間見れることを喜ぶマインドがある人が向いていると思います。
仕事をする上で気をつけるべきこと
マナーについて
患者さんの居宅では基本トイレを借りないようにしましょう。
患者さんの家のものは基本的に使わず、洗面所や床などを汚したら綺麗にする、移動させたものは元に戻す、ゴミも持ち帰りましょう。
当然と思われる人も多いと思いますが、「知っているだろう」で済まさずにマニュアルとして訪問に出るスタッフ全員に伝えましょう。
トイレに関しては衛生士さんやコーディネーターさんは大学で習ったり先輩から教わったりしているので、意外とドクターがやりがちです。
自分以外のドクターに訪問診療をお願いする場合は一応一言言っておいた方がいいかと思います。
身体を大切に
訪問診療は無理な姿勢をしなければならない場面が多いので、職種によらず腰痛持ちが多いです。
私の職場の一つは福利厚生で整体がついているクリニックまであります。
私も訪問診療のバイトを始めて3ヶ月でギックリ腰になり、一時期クセになって苦労しました。整形外科でヘルニアを指摘されています。
現在は整体に通ってギックリ腰になることはなくなりました。私は体が軟らかいのでつい腰を曲げがちなのですが、なるべく腰を曲げずに膝を曲げるように心がけています。
また、腎臓や膀胱にも気をつけて下さい。
トイレに行きにくいことから尿意を我慢したり、水分を飲まないようにしたりして腎臓や膀胱を傷めたスタッフがいました。
特に夏の訪問診療で水分を制限すると熱中症の危険もありますし、水分もトイレも我慢はしないようにしましょう。
あくまで私の3年間の経験からの情報ではありますが、院内診療しかやっていない先生方だと知らないこともあるのではないかと思い、書かせていただきました。
訪問診療は少人数で車内も含めて一緒にいる時間が長く、スタッフ間の仲の良さがチームの雰囲気に直結します。チームスタッフ全員が心地よく仕事できるよう、まずスタッフ同士がお互いに思いやること。その思いやりがチームの雰囲気として患者さんにも必ず伝わります。
「準備するもの」シリーズが訪問歯科を始めるクリニックのお役に少しでも立てたら嬉しいです。