訪問歯科医えるさの日記

フリーランス訪問歯科医が診療していて気づいたことを書いています。

私が思う「楽しく長生きする秘訣」

こんにちは。

今回は歯科からはちょっと離れて、私が高齢者を見ていて感じた「楽しく長生きする秘訣」をお話ししようと思います。

 

みなさん、できれば歳をとっても生き生きと楽しく過ごしていたいですよね。

私も同じです!

 

私はこれまで、外来と訪問を合わせて少なくとも200人以上の高齢者を見てきたと思いますが、認知症の有無に関わらず、お歳を召されても人生を楽しんでいらっしゃる方はいます。

 

そういった方々の共通点を挙げていこうと思います。

 

 

1. 続けている趣味がある

 私が学生時代から拝見している現在93歳のおばあさんがいます。

 

その方は素晴らしくお元気で、背筋もシャンとしていて、いつお伺いしても身なりもきちんとされていて、認知症もなく、私が作った上下の総入れ歯を入れていらっしゃいますが「おかげさまでステーキもいただけますのよ!」と仰っています(これに関しては入れ歯の痛みが出やすいので少し不安ですが 笑)。

 

その方は以前から地元のコーラスサークルに通われています。

コーラスというのは高齢者が元気に過ごすためには最高の趣味だと思います。

 

まず歌うことで喉、呼吸器を鍛えることが嚥下機能を鍛えるのにとても良いです。

 

私は大学で嚥下に関する勉強もしています。

 

嚥下機能と呼吸器の機能は密接な関わりがあります。

皆さんは特に意識はしていないと思いますが、物を飲み込む時には一瞬息を止めています。嚥下と呼吸は連動しているのです。一連の動きを無意識のうちに反射として行っています。

 

コーラスを行うことで呼吸器を鍛えることができ、口や舌を動かす筋、嚥下や呼吸に関わる筋を鍛えることができます。

 

また、コーラスに通うことでサークルの人との交流ができます。

このような社会的な繋がりというのは高齢者にとって非常に大切です。

 

これは一般的にはあまり意識されていない方が多いと思いますが、医療職や介護職の方には共感していただけるのではないかという、とても重要なポイントです。

社会的な繋がりがあることで、家族以外に定期的に話す相手がいるということは、認知症や鬱の予防に繋がります

 

最近コロナで外出自粛となり、家にこもっていると、たとえ仕事上の関係の人でも久しぶりに話すと少し心が晴れることはありませんか?

 

高齢になればなるほど、親しかった友人が亡くなったりして社会的な繋がりが薄れていきます。

比較的若い方でも、特に男性は仕事以外の知り合いがいらっしゃらない方は仕事を辞めた途端付き合いがなくなり、一人暮らしの場合はそれが原因で鬱っぽくなってしまった方をお見かけしたことがあります。

 

社会的繋がりを持つことは、いくつになっても人間らしくあるために重要なことなのです。

 

2.若者や異性に興味がある

我が家には今年94歳になる祖母がいます。

外出するほどの体力はなくなってしまいましたが、幸いADLはほぼ自立しています。

 

その祖母がまだ90歳になる少し前の話です。

 

当時私は歯科医師国家試験の勉強に勤しんでおりました。

夜型の私は夜中1時まで勉強し、そろそろ寝ようと思い、トイレに行きました。

 

するとリビングの方からテレビの音が聞こえました。

見ると、煌々と明かりを点けたリビングで祖母がテレビを見ていました。

 

見ていたのは当時デビューしたばかりのSexy Zone の中島くんやAKBなどの若い子が演じている深夜ドラマ。

それを当時ハマっていたCCレモンを飲みながら夜中1時に楽しそうに見ていました。

 

CCレモンを飲みながら夜中1時に人気アイドル主演の深夜ドラマを毎日見る」

 

これだけ聞いたらどこかのJKかと想像しますが、これは紛れもなく齢90近かったうちの祖母の実話です。

 

そんな祖母は今でもジャニーズのイケメンが大好きです。大ファンの嵐やドラマで知った中島くんの名前を覚えているのはもちろんのこと、King&Princeの平野くんなど、情報は日々アップデートされています。次はSixTONESジェシーあたりかな?

 

うちの祖母だけではありません。これは大学の外来に来ていた80歳くらいのおじいさんの話。

 

大学までは家から電車で1時間程度かかると思いますが、抜歯や入れ歯を作るために計10回以上、1年近くは通われていたと思います(大学はアポの間隔が長いため)。

 

そのおじいさんは何故そこまでして歯科に通いたかったのか。

理由は「彼女に口が臭いからキスしたくないと言われたから」

 

その彼女にそそのかされ、彼女の趣味であるコーラスに自分も通い(やはり元気な人はコーラスに通ってますね)、彼女とデートでカラオケに行き、彼女が「茶髪が好き」と言っていたからと茶髪に染めていました。なんて健気。

 

抜歯が終わり、入れ歯が完成して使えるようになった時、満面の笑みだったのは言うまでもありません。

 

ちなみにその彼女というのは不倫相手です。家には奥さんがいます。奥さんの話は聞いたら顔をしかめたので深くは聞きませんでした(笑)

 

不倫が社会的に許されるかはさておき、一般的に健康的、正しいと言われているような生活を送ることが必ずしも楽しい長生きに繋がるわけではないのかもしれないと思います。

一応言っておきますが、私は不倫を肯定しているわけでは決してありません。笑

 

いくつになっても異性に恋をすることは素敵なことだと思います。

 

ちなみに私はイケメン大好きミーハーな祖母をとても自慢に思っています。

そんな祖母の遺伝子は孫の私まで脈々と受け継がれています。ミトコンドリア恐るべし。

 

3.新しいことにチャレンジする

芸能人で言えば黒柳徹子さんやデヴィ夫人など、年齢を感じさせずに常にチャレンジをし、それを臆せず、楽しんでいる方は画面越しでもとても生き生きしていると感じます。

 

あれほどのアグレッシブさはなかなか一般人には難しいですが、そこまででなくとも新しいことにチャレンジするのを楽しむことは誰にでもできます。

 

現在80歳くらいのとあるおばあさんのお話。

 

治療のためお宅へ伺うと「アレクサ!音楽止めて!」と。

お利口なアレクサは指示通りiPadから流れる宮本浩次の曲を止めました。

 

聞けばそのiPadは息子さんからの誕生日プレゼントだったそうで、プレゼントの中では一番重宝しているとか。

 

私が居宅訪問していて切実に思うのが、高齢者ほどスマホを持ってほしいということ。

 

訪問のアポが入っていることを忘れて買い物に出かけてしまったとか日常茶飯事です。

病院の予約も診療科が多岐にわたるため、全てを覚えていることなど若い私でも無理だろうと思います。

 

コロナの影響でオンライン診療が今後普及していくと考えますが、出歩けない高齢者ほどネット環境が脆弱である場合が多いです。

 

だからこその訪問診療ではあるのですが、スマホなどのIT機器があれば診療の可能性はぐっと広がると思います。

 

そんな中、Amazon Echoを使いこなしている80歳には心底驚いたとともに新しいものに臆せずチャレンジすることで新たな楽しみを見つけられるということをもっと多くの高齢者に知ってもらいたいと思いました。

 

 

いかがだったでしょうか?

今の皆さんは上記の3つのどれかに当てはまりますか?

 

人生遅すぎることなんてないと思います。

これを読んでいただいた皆さんがおいくつであろうと、今から心持ちを変えることでより楽しい老後を過ごせたらいいと思います。

 

私もね!!(笑)