訪問歯科医えるさの日記

フリーランス訪問歯科医が診療していて気づいたことを書いています。

訪問歯科を始めよう!準備するもの vol.2【書類編】

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訪問診療には書類が付き物。

各所方面にきちんとした書類を送付することは必須であり、ご家族や他職種と「やったやらない」の話にならないようにするためにもとても大事です。

今回は訪問歯科診療に必要な書類をまとめました。

実際に準備する際は、最後に下記のチェックリストで揃っているか確認して下さい。

 

Check!

【初回に必要なもの】

  • 1号用紙(医療・介護の保険証情報、ケアマネの情報、KPの連絡先、服薬情報、疾患・感染症、希望曜日・時間)
  • 歯科治療の同意書
  • 居宅療養管理指導の同意書
  • 無料検診案内

 

【2回目以降に必要なもの】

  • 歯在管・訪衛指・居宅療養管理指導の用紙
  • 治療内容、次回予定を書く用紙
  • 抜歯同意書/(嚥下もやるなら)嚥下内視鏡同意書・説明書
  • 他院への紹介状、診療情報提供書

 

以下でそれぞれについて説明していきます。

 

初回に必要なもの

1号用紙

院内の場合は歯式と住所、氏名、医療保険証情報くらいかと思いますが、訪問の場合は以下も非常に必要ですので必ず記載して下さい。

  • 介護保険証情報(要介護度、有効期限、負担割合)
  • ケアマネの情報(事業所名、ケアマネのフルネーム、連絡先)
  • KP(キーパーソン)の連絡先
  • 服薬情報、疾患・感染症の情報
  • 希望曜日・時間

介護保険証について、負担割合は「負担割合証」に記載されています。介護保険証と負担割合証の2枚を必ず確認して下さい。レセコンに入力が必要です。

 

ケアマネの情報は居宅療養管理指導を送付する際に必要です。また、特に居宅の訪問ではその場で連絡したいこともありますから、電話番号も控えておくといいと思います。

 

KP(キーパーソン)とはご本人を主に介護している人のことです。配偶者、子供など。同居していなくても主に面倒を見ている人、ご本人に関する連絡を主に受ける人です。これもすぐに連絡ができるように電話番号を控えておきます。

 

疾患、服薬、感染症情報は診療方針や準備に関わるので必ずメモしておきましょう。可能であればお薬手帳のコピーなどをもらえれば手間は省けます。

 

要介護の患者さんはリハビリや訪問看護、デイサービスなど予定がたくさんあります。希望の日時を聞いておき、なるべくお互い無理のない時間に訪問しましょう。

歯科治療の同意書

昨今は何に関しても同意書が必要なのは言うまでもないことですが、訪問診療はKPが同席しないことも多いので同意書の存在は重要です。初回に同席されない場合はKPのお宅に郵送し、返書が来てから診療を開始しましょう。

居宅療養管理指導の同意書

先ほどの同意書は「医療」に関する同意書、こちらは介護保険を使っている患者さんに対する「介護」サービスを使うことへの同意書です。

この同意書に大まかな金額を書いておくと親切です。

無料検診案内

施設などで初回は無料検診にするという条件にしている場合は、無料検診案内を施設に置いておくと施設側も説明がしやすく、新患を紹介してもらいやすいと思います。

 

2回目以降に必要なもの

歯在管・訪衛指・居宅療養管理指導の用紙

歯科疾患在宅療養管理料(歯在管)は院内の歯管の在宅バージョンです。

介護保険の居宅療養管理指導とダブルで算定はできませんので、医療のみで算定している患者さんに歯在管を算定します。

 

訪問歯科衛生指導料(訪衛指)は衛生士さんが同行して処置をすれば算定できます。

 

算定する場合に用紙を提出する必要があります。

歯科医師会等で作成されている用紙もありますし、クリニックで独自に作成しても良いと思います。

 

居宅療養管理指導は介護保険を算定している患者さんに算定可能で、その場合は指導内容を書いた紙をケアマネージャーに提出することが義務付けられています。

 

訪問は書類が多いので、その場で済ませられるものはなるべく済ませた方が効率がいいです。

PCにフォーマットを入れておいて車で打ち込むとか、その場で手書きで書けるようなフォーマットにするなど、なるべく負担が減るような工夫をすることをオススメします。

治療内容、次回予定を書く用紙またはノート

KPが同席しないことも多く、ご本人が治療内容や次回の日程を忘れることが十分考えられるので、治療内容や次回予定を必ず書いて残しておきましょう。

これは病院や施設においても必要です。訪問の曜日や時間帯が一定でない場合は、病院や施設でも行き違いは頻繁におきますので、こちらが書いた書類を置いておくことは重要です。

抜歯同意書/嚥下内視鏡検査の同意・説明書

観血的処置や内視鏡検査を行う際は同意書にサインをいただきましょう。

抜歯同意書は院内で用いているものがあればそれと同じものでいいと思います。

投薬する場合は、服薬に関する指示(1日3回食後、3日分など)を書いてお渡ししましょう。

嚥下内視鏡検査の同意・説明書には検査の目的、手順、検査中の映像を録画し院内で保存すること、リスクとして鼻出血や検査中の誤嚥があるが、鼻出血は可能性が低く少量で止血可能であること、誤嚥はなるべく少量になるように工夫し、した場合は速やかに吸引するなど適切な処置を行うこと、等を記します。

他院への紹介状、診療情報提供書

これは訪問診療に限らず必要ですが、訪問では特に使用頻度が増えます。

こちらも病院や施設などはその場で書いて渡せればそれが一番早いですので、訪問診療時に常に持ち歩くといいでしょう。

抜歯に関しての診療情報提供書など、使用頻度が高く、かつ内容がある程度決まっているものは、手書きでもチェックをすればほぼ書き終わるようなフォーマットを作ると楽です。

また、医科の先生方も多忙ですし、書類が多くなるほどこちらの管理も面倒ですので、医科の先生のお返事の欄も含め、字が小さくてもいいのでA41枚に全てが収まるようなフォーマットが望ましいと思います。

 

 

 

私が普段用いている書類を全て並べました。クリニックによって書式は違いますし、手落ちしている書類があるかもしれません。 

上記は私が知っている範囲で「必ず必要なので準備しておくべき書類」として考えていただければと思います。

特に医療保険の方はルールが頻繁に変わりますので、状況に応じて書類関係も柔軟に変更できるよう、フォーマットは必ず保存しておきましょう。