訪問歯科医えるさの日記

フリーランス訪問歯科医が診療していて気づいたことを書いています。

自宅で誰でもできる!嚥下の訓練6選

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皆さん、ステイホーム生活いかがお過ごしですか?

今回はおうち時間を有効に活用できる嚥下の訓練をご紹介します!

どれもご自宅で1人でやれるものをピックアップしたので、高齢者だけでなく皆さん是非やってみて下さい!

オススメは各訓練が特に必要と思われる対象者です。

 

 

首、舌のストレッチ

オススメ:全員

筋トレの前にまずはストレッチから。

嚥下の依頼があって伺うと、大抵の患者さんは首の筋肉が硬く、前傾姿勢になっています。筋肉が硬いと本来の力を発揮できませんので、ほぐすこともとても大切です。

首:前後左右に動かす、回す

舌:舌を前に出す、できれば後ろに引く、鼻の下を舐めるように上に伸ばす、顎を舐めるイメージで下に伸ばす、左右の口角を舐める

どちらも痛くない範囲で1番伸ばせるところまで伸ばしてみましょう。1番伸びたところで1秒キープ。それぞれの動きを5回ずつやりましょう。

首に関しては、頸部脊柱管狭窄症など頸椎に疾患がある方は控えた方がいいです。

 

開口訓練

オススメ:のどに食べ物が引っかかって残る人

下顎の真ん中(オトガイ)を親指で押さえ、その力に抵抗するように口を開けます。

思いっきり口を大きく開けるほうがシンプルですが、高齢者は顎が外れやすいのでこちらを紹介しました。顎が外れやすい人は注意して行いましょう。

飲み込む時に使うのどの筋肉を鍛え、食道の入り口を開きやすくします。

10秒開けて10秒休憩、5回1セットで1日2セット以上行いましょう。

 

おでこ体操

オススメ:のどに食べ物が引っかかって残る人

これも開口訓練と同じような部位に効く訓練です。開口訓練が心配な人はこちらでもいいと思います。

「シャキア訓練」をご存知の方は、それの変法です。シャキアは負荷量が大きいので、やりやすく変えたものです。

額に手を当てて抵抗を加え、おへそを覗き込むように強く下を向きながら手の力に抵抗するように額に力を入れます。

顎の下あたりを指で触ると筋肉に力が入っているのがわかると思います。

即効性があるそうなので食前にやるのもオススメです。ゆっくり5秒キープ×5回から。

頸椎症や高血圧の方は注意して行って下さい。

 

口をすぼめる

オススメ:口の周りの筋肉が衰えている、もしくは何かの病気の後遺症で麻痺していて食べている時に口からこぼれてしまう方、食べている時に頬や唇と歯の間に食べ物が残る方

口を尖らせて唇を閉じたまま、頬を思いっきり凹ませます。

数秒間キープして緩めるのを5〜10回行うので1セット。1日2セットから行ってみて下さい。

 

巻き笛

オススメ:食べている時に食べ物が鼻のほうに回ってくる人、喫煙歴がある人、咳払いの力が弱くてのどに引っかかったものを飛ばす力がない人

 

皆さん「巻き笛」って覚えてますか?縁日とかでピーッと吹いて伸びる、アレです↓

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吹く時に鼻に空気が抜けてしまうと笛は伸びません。

軟口蓋(上顎の奥の方、ノドチンコのあたり)の筋肉が弱っていると鼻と口の境を作れず、鼻のほうに空気がぬけてしまうのです。

巻き笛を吹くことで、軟口蓋の筋肉を鍛えて鼻に空気や食べ物が抜けていかないようにするトレーニングです。

基本的には軟口蓋の筋トレですが、息を長く吐くことで呼吸器の筋肉も鍛えられます。

長く伸ばし続けるのがポイントです。股が分かれていない、絵のようなシンプルなもので始めましょう。100均などで売っています。

5秒間伸ばし続けるのを1回として10回を1セットとしましょう。

COPDなどの呼吸器疾患がある人は、負荷が強すぎると感じれば回数を適宜減らしてみて下さい。

 

舌を口蓋に押し付ける

オススメ:食べ物を送り込みにくい人、歯はあるのに食べるのに時間がかかる人、舌の汚れ(舌苔)が厚い人

舌を上顎にぎゅっと押し付けます。

5〜10秒ほどキープ、5~10回を1セットとして、「少しきついな」と思う秒数・回数に設定しましょう。 

1日2〜3セット行って下さい。

ちなみにこの訓練には「ぺこぱんだ」という専用アイテムがあります。

orarize.com

ただ舌を上顎に押し付けるだけよりは、押し付けるものがあった方がやりやすいです。

これは膨らんだぱんだを舌で潰すように力を加えることでトレーニングできます。

詳しい使い方はリンク先に動画付きで紹介されています。

「ぺこぱんだ」で検索すると楽天やアマゾンでヒットします。ピンク・紫・緑の3個セットを買えばほとんどの人に対応すると思います。

 

今回の記事は以下を参考にしました:

https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/18-1-p55-89.pdf

 

参考資料はどちらも専門的な文献なので一般の方には理解が難しいですが、医療関係者など嚥下に興味がある方は是非読んでみて下さい。

本のほうは嚥下を勉強する際に教科書として紹介してもらった本です。

 

 

 

今回書いた回数や秒数は参考として捉えていただければと思います。

きつすぎると感じれば、適宜負荷を減らしてみましょう。逆に軽すぎれば増やしましょう。

続けることが何より大事です。「食事前」「起床後」など、決まった時間に行うことでルーティン化すると忘れにくくて良いですよ。

 

みなさん試してみて下さいね!

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